
議事録AIの固有名詞誤変換を直す方法|辞書登録・ChatGPTプロンプト・運用サイクルを横断解説
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AI議事録ツールを使っていて「精度はまあまあなのに、会社名・人名・製品名だけ毎回おかしい」という経験は、ほぼ全員が通る道です。
結論から言うと、この問題は2つのルートで対処できます。(1) 各ツールの辞書機能に固有名詞を事前登録する、(2) 辞書がない・間に合わないときはChatGPTのプロンプトで後処理する。どちらか一方に頼るよりも、この2つを「誤変換ログ」で繋いで回すことで、使えば使うほど精度が上がる運用になります。
私自身、PLAUD NOTEで会議録音を3ヶ月754本回した経験から、固有名詞の誤変換だけで見ると「最初の1ヶ月よりログを溜め始めた2ヶ月目以降で体感精度が明らかに上がった」と感じています(あくまで個人の体感値です)。この記事ではその仕組みを、ツール横断で整理します。
結論
固有名詞誤変換の対策は「辞書登録(事前)」と「ChatGPT後処理(事後)」の二刀流が現実解。誤変換ログを蓄積して定期更新する運用サイクルを作ると、時間がたつほど直しコストが下がる。
なぜ固有名詞だけ「外れる」のか——メカニズムを先に理解する#
音声認識AIが固有名詞を誤変換しやすい理由には、言語モデル側の構造的な事情があります。平易に言うと、モデルは「よく出てくる単語の組み合わせ」を学習しています。
- 一般語は出現頻度が高いため、「こういう音はこの単語だろう」という推定精度が高い。
- 固有名詞(社名・製品名・人名)は出現頻度が低いうえに、表記が定まっていないケースも多い。「ACES Meet」「Notta」「クラウディア」のような固有名詞は、学習データ内でほとんど登場しない。
- 音が似た一般語や別の固有名詞に引き寄せられて出力される。「EXCEED(エクシード)」が「エクシーズ」になったり、「くるる」が「来る」に化けたりする。
補足:英語固有名詞の崩れ方
英語の製品名・略語(SaaS名・会議ツール名など)は特に崩れやすい。日本語モデルは英語テキストを音写してから認識するため「Zoom」→「ズーム」は通っても「Notion」→「ノーション」→「の小説」のような連鎖変換が起きることがある。あくまで体感ですが、英字表記の会社名・ブランド名は国産ツールほど崩れやすい傾向を感じています。
ツール別「辞書機能」の比較——どこに仕込むか#
主要AI議事録ツールの辞書・カスタム単語機能を横断して比較します。
| ツール名 | 辞書機能の有無 | 登録方式 | 上限数 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| Notta(ノッタ) | あり | マイ辞書(単語リスト) | 非公開(体感50〜100語程度まで試験済) | プランによって有無が異なる場合あり・要確認 |
| PLAUD NOTE | アプリ側に「カスタムキーワード」機能あり | アプリ内で単語を追加 | 数十語程度 | Whisperに渡す前処理段階で挿入される仕様。Whisperの固有名詞バイアスには直接影響しない |
| ACES Meet | 辞書(用語集)機能あり | 管理コンソールで登録 | プラン依存 | 会議ごとではなくアカウント単位で共有される |
| AI GIJIROKU | 辞書登録機能あり | 単語・読み方のペアで登録 | プラン依存 | 読みが分かれていると効果が高い |
| Whisper API(直接利用) | ないが代替策あり | promptパラメータで文脈を渡す | 約224トークン | 「この会議には次の固有名詞が出る:」と前置き可 |
| Google Meet 自動文字起こし | ほぼなし | 独自辞書なし | — | Chrome拡張やGWSの設定で補完的対応が可能 |
注意
上記の機能・上限はツールの仕様変更により変わる場合があります。利用前に各ツールの公式ドキュメントで最新情報を確認してください(本記事は2026年6月時点の調査に基づきます)。
辞書登録の実践手順——Nottaを例に#
辞書登録は、各ツールで設定箇所が違うだけで手順の骨格は共通です。Nottaの「マイ辞書」を例に示します。
手順
- Nottaにログインし、右上のアカウントアイコンから「設定」を開く
- 左メニューの「マイ辞書」をクリック
- 「単語を追加」から固有名詞を入力。読みと正式表記のペアで登録する(例:読み「えくしーど」→表記「EXCEED」)
- 登録後は次の録音から自動で適用される。過去の文字起こしには遡及されないため注意
- 月1回など定期的に見直し、誤変換ログから新しい語を追加していく(後述のPDCAサイクル参照)
Nottaの辞書は会議録音をAI要約にかける前の認識工程で使われるため、登録すると文字起こし本文・要約の両方で効果が出ます。あくまで体感ですが、同じ固有名詞を5〜10語登録しただけで一番目立つ誤変換のほとんどが消えました。
辞書なしで今すぐ直す——ChatGPTプロンプトによる後処理#
辞書の整備が間に合っていない、あるいはWhisperやGoogle Meetのように辞書機能がないツールを使っている場合、ChatGPTに後処理させるのが現実的な代替手段です。
ステップ1:誤変換ハイライトプロンプト#
まず「誤変換が疑われる箇所を洗い出す」工程を先に走らせます。文字起こし本文をそのままGPTに渡して直させるより、一度候補をリストアップさせるほうが見落としが少なくなります(個人的な体感です)。
あなたは日本語文字起こしの校正者です。
以下の文字起こしテキストを読み、「固有名詞・社名・人名・製品名として意味が通らない、
もしくは誤変換の可能性が高い」単語や語句を【ハイライトリスト】として抜き出してください。
形式:
- 誤変換疑い語:「〇〇」→ 正しい表記の候補:「△△」(理由:〜)
確信が持てない場合は「要確認」と付記してください。
---
[文字起こしテキストをここに貼る]
このプロンプトで出力された候補リストを人間が確認・承認してから修正するので、GPTの誤判断(正しい語を変えてしまう)を防げます。
ステップ2:承認リストで一括置換#
ハイライトリストを確認したら、承認した置換ペアをGPTに渡してテキストを修正させます。
以下の置換リストを使って、下のテキストを修正してください。
リストにない語句は一切変更しないでください。
【置換リスト】
- 「エクシーズ」→「EXCEED」
- 「来る来る」→「くるる」
- 「ノッタ」→「Notta」
---
[元の文字起こしテキストをここに貼る]
「リストにない語句は変更しない」の一文が重要です。これがないとGPTが文章全体を書き直そうとすることがあります。
誤変換ログを蓄積して辞書を育てる運用サイクル#
一時的な修正で終わらせず、毎回の修正記録を溜めて定期的に辞書へ昇格させるのが「使えば使うほど精度が上がる」状態を作るコツです。
手順
- 文字起こし後、ChatGPTのハイライト出力や手作業で見つけた誤変換を「誤変換ログ」に記録する(スプレッドシートやNotionのデータベース1行で十分)
- 記録項目:日付・ツール名・誤変換語・正しい表記・出現回数
- 月1回(または10本録音ごと)にログを集計し、出現回数2回以上の語を辞書登録候補としてリストアップ
- 各ツールの辞書に登録。WhisperなどPrompt方式のツールは「固有名詞リスト」を更新する
- 翌月の精度を体感で評価し、効果が低い語は登録の優先度を下げて次のサイクルへ
この運用を3ヶ月続けると、主要な固有名詞はほぼ辞書に入り、毎回同じ語を修正するコストがなくなります。残るのは「新しく出てきた語」だけになるので、メンテナンス工数が自然に下がっていきます。
ツール別・誤変換が起きやすい固有名詞カテゴリ#
運用を重ねた体感として、次のカテゴリは優先的に辞書登録しておくと効果が高いです。
メリット
- 自社の会社名・サービス名・ブランド名(最優先)
- 頻繁に登場する顧客・取引先の会社名
- 社内略語・プロジェクトコード(「枢」「jidoulab」等)
- 英語SaaS名・ツール名(Notion, Slack, PLAUD等)
- 担当者名(特にフルネームで登場する人物)
デメリット
- 1〜2回しか出てこない語(コスパが低い)
- 人名は読みが多様なため、ヒットしないケースが多い
- 英語・カタカナが混在する造語(登録しても認識エンジン側で崩れることがある)
- 辞書登録後も変換されない場合がある(エンジン依存。改善は保証されない)
ツール横断での使い分け指針#
複数のツールを使い分けている場合の優先順位を整理します。
| 場面 | 推奨アプローチ |
|---|---|
| Nottaを使っている | マイ辞書に優先度高い語から順に登録。月1更新 |
| PLAUD NOTEのみ | アプリの「カスタムキーワード」+ChatGPT後処理の二重対策 |
| Whisper API直接 | promptパラメータに「この会議の固有名詞リスト:〜」を渡す |
| ツールが複数ある | 誤変換ログを1ファイルに集約し、全ツールの辞書を一元管理 |
| すぐ対応が必要 | ChatGPTのハイライト→置換プロンプト(辞書登録の前処置としても使える) |
PLAUDとNotionを組み合わせたタスク管理フローについては PLAUD議事録のNotion連携とタスク管理運用 が詳しいです。録音から文字起こしまでの全体像は PLAUD議事録の実録ワークフロー も参照してください。
AI議事録自動化全体の流れは 議事録づくりをAIで自動化する手順 で解説しています。
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よくある質問#
Q. 辞書に登録したのに誤変換が直らないのはなぜですか?#
辞書登録はあくまで「認識モデルへのヒント」であり、確実に反映されることを保証するものではありません。ツールのエンジン実装によっては、辞書の優先度がモデルの確信度より低い場合に無視されることがあります。そのときは読みと表記をより細かく区切って再登録するか、ChatGPTの後処理プロンプトで補完するのが現実的な対処です。
Q. ChatGPTプロンプトで修正した場合、別の箇所が書き換わってしまうことはありますか?#
あります。そのリスクを下げるため、この記事では「ハイライトして候補を出す→人間が承認→承認リストだけを置換する」2段階の手順を紹介しています。「リストにない語句は変更しないこと」の一文をプロンプトに必ず入れてください。それでも文章を整えようとすることがあるため、修正後は元テキストと差分を目視確認するのが安全です。
Q. Whisper APIを直接使っている場合、辞書機能の代わりになる設定はありますか?#
Whisper APIのpromptパラメータを使う方法があります。「この音声には次の固有名詞が含まれます:〇〇, △△, □□」という形の短いテキストを渡すと、認識モデルがそれを文脈として参照します。ただし渡せるのは約224トークン(日本語で100〜150字前後)と限られるため、最重要語に絞って記載するのが効果的です。完全な辞書機能ではなく、あくまで補助的なプロンプトと捉えてください。
まとめ#
議事録AIの固有名詞誤変換は、「なぜ外れるか」の仕組みを理解したうえで、辞書登録(事前)とChatGPT後処理(事後)の2つを使い分けることで現実的に対処できます。大切なのは修正を一回限りの作業にせず、誤変換ログに記録して辞書を育てる運用サイクルを作ること。最初は少し面倒ですが、3ヶ月もあれば主要な固有名詞は辞書に収まり、毎回の修正コストが目に見えて下がります(個人の体感です)。
まずはChatGPTのハイライトプロンプトを今日の文字起こしに試してみて、誤変換ログをスプレッドシートの1シートに書き始めるところから始めてみてください。
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